こんにちは。フリーランス投資家のmaruです。
いま世界は、第4次産業革命がものすごい速度で進んでいます。IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの革新的な技術が、世界中の産業を大きく変革させようとしているのです。
そんな中で、縁の下の力持ちとして輝く企業があります。それが「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング」、通称「TSMC」です。
今回はそんな台湾の超大型企業「TSMC」について銘柄分析をしていきました。
○これまでの業績・株価について
○TSMCの強み・今後を考察
「TSMCに投資したい」「今後どうなるか見通しを知りたい」という方は最後まで読んでみてください。
もくじ
TSMCってどんな会社?
TSMCの基本情報
本社 | 台湾 |
設立 | 1987年2月 |
上場 | 台湾証券取引所1994年 ニューヨーク証券取引所1996年 |
業種 | 電気機器 |
時価総額 | 6315億ドル(2021年3月13日現在) |
TSMCは、台湾に本社を置く企業でニューヨーク証券取引所にも上場しています。時価総額は、日本のトップ企業「トヨタ」を超えており、世界でもトップ10入りを果たせるほどの規模です。
事業内容
TSMCは、半導体などの受託製造企業です。自社での設計や販売を行わず、企業の依頼で製品を受託製造する専業企業です。
TSMCは高い技術を誇っており、半導体の利用分野は多岐にわたります。これまでは特にスマートフォン向けの需要が強く、スマホの普及とともに急速に拡大してきましたが、今後はIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの需要拡大の恩恵を受けられると予測されています。
TSMCはその半導体受託製造企業で、世界トップの企業です。
取引先の顧客には、Appleやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ、エヌビディアなどの企業があります。
TSMCの業績・株価
TSMCの事業内容などが分かったところで、次は業績や株価の推移を見ていきましょう。投資対象としてはもっとも重要な「稼ぐ力」と投資家にとって重要な「株価」が、過去どんな推移をしてきたのかチェックします。
業績
以下のグラフが過去6年間にわたる、TSMCの売上高の推移です。
順調に売上高が伸びてきていることが分かります。特にコロナ禍の2020年の売上高は前年比で+25%となっており、力強い成長を見せました。
すでに述べたように、TSMCのサービスは幅広い業種に対応しています。特定の業種に依存することなく、安定した収益を得ることができます。
しっかりとした収益基盤を持っているのが強み一つと言えます。
株価
では株価はどうでしょうか?過去5年間の推移を見ていきます。
TSMCの株価は、これまで右肩上がりで推移してきました。特に2020年に入ってからは大きな上昇を続け、コロナ禍の底から一時3倍近くまで伸びています。
しかし一方で2021年に入ってからは下落を始めており、今後の動向には注意が必要です。これが過熱感からくる一時的な調整局面なのか、長期的な下落トレンドに入っているのかをしっかり見極める必要があります。
では今年に入ってからの株価の下落がこれからどうなっていくかを予測するために、TSMCの強みや今後の展望を私なりの観点から見ていきます。(あくまで個人の意見です)
TSMCの強みと今後は?
ここまでTSMCの業績や、株価の動きをチェックしてきました。順調に業績が伸びてきているのが分かりましたが、その背景にあるTSMCの強み、そしてこれから株価の動きがどうなっていくのかを予測する手掛かりを見ていきましょう。
高い技術力で半導体のシェアを獲得
TSMCの最大の魅力とも言えるのが、その圧倒的技術力です。Appleにしてもエヌビディアにしても、高い技術力を持っているからこそTSMCとの取引を行なっています。
現在、TSMCの製造している半導体は「5nm」という微細な技術でフル稼働しています。2021年中には「3nm」の試験生産を開始し、2022年の下半期には量産を開始する予定でいます。
これだけではTSMCの技術力が分かりにくいと思いますので、同じ半導体メーカーのインテルと比較してみましょう。インテルは現在「14 nm」「10 nm」の生産を中心に行なっており、それ以上の微細化は実現できていません。
そうした技術力の強みから、2020年第4四半期の半導体生産の市場シェアにおいて55.6%を獲得しています。
微細化を実現すると、処理能力が向上するうえ、使用する電力量も減少でき、材料コストを抑えることにもつながります。今後、半導体の微細化は業界全体のテーマになってくるでしょう。すでに先行者として技術的優位性を誇るTSMCは、よりシェアを獲得していく可能性が高いと言えます。
半導体は次世代技術を支えていく
冒頭でも述べた通り、現在世界は第4次産業革命という大きな転換期を迎えています。
最初にヨーロッパ・アメリカを中心に蒸気機関の発達により産業革命が起こり、次に電力を用いた大量生産による革命が起こりました。その後、IT技術の登場により3度目の産業革命が起こり、それは現在まで続いているとされていますが、もうすでに次の産業革命が到来しているのです。
AIやIoTだけでなく、仮想通貨や量子コンピュータ、自動運転技術搭載の自動車など、いよいよ近未来的な製品・サービスが目前にきています。
それらを根幹で支えているのが半導体なのです。こうした次世代技術も結局は、半導体の存在なしには成り立ちません。
では、それほど重要な役割を担う半導体の製造を、企業はどこに任せるでしょうか?もちろん自社で行う企業も出てくるでしょうが、やはり世界トップシェアを握るTSMCに任せるのが安心です。
TSMCはすでに、「3 nm」の半導体を高性能なパソコンやスマートフォンに関連する顧客と商談を始めていると発表しています。つまり次世代技術の根幹にはもう、TSMCの製造技術が取り入れられようとしているのです。
ファーウェイとの決別でどうなるか?
TSMCは2020年、米国からの規制により中国最大級のテクノロジー企業「ファーウェイ」との決別を余儀なくされました。ファーウェイは半導体の量産をTSMCにかなり依存しており、TSMCにとってファーウェイは主要顧客のひとつでした。
この関係を断ち切ることが、中国に対して大きな制裁になるとみた米国が規制に乗り出しました。
規制の影響はどのように表れるでしょうか?
2020年通期の業績を見る限り、あまり大きな影響を受けてはいないと私は考えています。すでに見たように2020年の売上高は、前年比で+25%の成長を見せています。高い技術力で世界をリードしており、今後あらゆる企業からの注文が殺到する可能性も高いです。
もちろんファーウェイとの取引があるほうが、TSMCにとってプラスになる事は間違い無いですが、その関係を断ち切られても問題なく収益をあげることができるだろうと、私個人的には考えています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、台湾の半導体受注製造企業「TSMC」についての銘柄研究をしました。
○世界随一の微細化技術力で市場シェアは55%
○第4次産業革命の世界において微細化された半導体は必要不可欠
○ファーウェイへの規制強化の影響はゼロではないが、成長にブレーキをかけるほどではない
半導体の需要がなくなることは考えにくく、その業界のリーディングカンパニーとしてこれからますます活躍していく企業ではないかと、私は考えています。
デジタル化が加速していく世界の恩恵を受けられるのが、TSMCの大きな魅力だと思います。今後の世界の動きに関わる企業ですので、TSMCの動向を精査していこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。またお願いします。