こんにちは。フリーランス投資家のmaruです。
デジタル時代が加速していくなかで、重要な役割を担うのが半導体です。スマートフォン、パソコンなどにはもちろんのこと、インターネットの接続には欠かせないデータセンターや、今後ますます活躍が期待されるAIや自動運転分野にも半導体はなくてはならない存在です。
ということで今回は、半導体企業のなかでもひときわ輝く企業「エヌビディア」について銘柄研究をしました。
○これまでの業績・株価について
○エヌビディアの強み・今後を考察
「エヌビディアに投資したい」「今後の株価の見通しを知りたい」という方に向けてこの記事を書いています。ぜひ最後まで読んでみてください!
もくじ
エヌビディアってどんな会社?
まずエヌビディアがどんな会社なのかを見ていきましょう。
エヌビディアの基本情報
本社 | アメリカ・カリフォルニア州 |
設立 | 1993年 |
上場 | 1999年1月 |
上場市場 | NasdaqGS |
業種 | IT・通信 |
時価総額 | 3185.75億ドル |
エヌビディアはアメリカ・カリフォルニア州にある半導体企業です。時価総額は3000億ドルを超えており、日本トップのトヨタを上回っています。
それでは、次にエヌビディアの事業内容について見ていきましょう。
事業内容
エヌビディアはいわゆる、半導体のファブレス企業です。
ファブレス企業というのは、自社で開発などを行うものの、生産設備は持たないため外部に委託し、完成品は自社ブランドのものとして販売する企業のことです。
つまりエヌビディアは、自分で半導体を製造する能力は持たずに、設計後に外部委託して販売している企業になります。
自社で設計・販売を行わず、製造受託を専門にするファウンドリ企業のTSMCなどとは、全く正反対ということになります。
エヌビディアの半導体について
エヌビディアが強みを誇る半導体は、「GPU」と呼ばれる画像処理などに強みを持つ半導体です。
GPUはゲームに使用されることが多く、エヌビディアの売り上げ構成もゲームの占める割合が大きくなっています。例えば記録的にヒットしている、Nintendo Switchもエヌビディアの半導体を利用しています。
しかしここにきて急成長を遂げているのが、データセンター向けです。マイクロソフトやアマゾンなど、大きな規模のデータセンター企業が、エヌビディアの半導体を採用しているため、近年のデータセンター市場の拡大に伴って、売り上げも大きく伸ばしています。
現状はゲーム向けとデータセンター向けの2つの柱で成長していくことが予想されます。
エヌビディアの業績・株価
事業内容について分かったところで、次は業績と株価をチェックしていきましょう。
私は投資対象を分析する際に、「企業の稼ぐ力」を数字で確認できる売上高と、投資家の需要が見て取れる株価の推移を必ずチェックします。
ということで、過去の推移を見ていきましょう。
売上高
以下のグラフが、エヌビディアの過去6年間の売上高の推移です。
2020年1月期には、一時的に売上高の成長が鈍化しましたが、21年にはそれまでの成長速度を大きく上回る増加を見せました。
完全な右肩上がりとはいきませんが、それでも企業としての稼ぐ力を16年から3倍以上に伸ばしており、投資対象としては今後も期待できる企業だと思います。
株価
下のチャートは、エヌビディアの過去5年間の株価の推移を表したものです。
2018年には、米長期金利の上昇によりおよそ半値まで下落しましたが、長期的にみれば上昇トレンドにあります。2021年3月現在、コロナ後の上昇が一旦落ち着き上昇は止まっていますので、短期的な調整局面なのか、長く続いた上昇トレンドが終わったのかは、注意深く見ておく必要があると思います。
ただ個人的には、売上高の伸び率や、今後の成長期待を踏まえると長期保有で利益を狙える銘柄ではないかなと思います。
では次に、エヌビディアの強みや今後の見通しについて私なりの観点で見ていきます。
エヌビディアの強み・今後
エヌビディアの今後を考える上で重要となるポイントは、以下の3点であると私は考えています。
・主力のゲーム事業の成長性
・GPUの事業領域拡大
・企業買収の影響
・CPU参入(2021年4月13日追記)
ではひとつずつ見ていきましょう!
ゲーム事業の成長性
エヌビディアがこれから期待できるポイントとして、主力のゲーム向けGPUの存在感はかなり大きいです。
最近のゲームの進化が凄まじいことは、皆さんもご存知かもしれません。
スマートフォンで手軽にゲームができるようになったものの、Nintendo SwitchやPlayStation5などの据え置きゲーム機もどんどん進化し、子供から大人まで幅広い世代に愛され続けています。
今や任天堂やソニーが、新作のゲームを発表するたびに世界中が大きく熱狂するような時代になってきています。
そしてVR(仮想現実)などの新たな技術がゲームに入ってくることで、さらなる盛り上がりを見せると予想されています。
そうするとゲーム向けのGPUを提供しているエヌビディアにとっては、大きく恩恵を受けられる状況が目前にきていることになります。
もうひとつ、エヌビディアのゲーム事業にとって大きな成長期待ができる分野が「eスポーツ」です。
eスポーツ市場については、2017年に6億9,420万ドルだったところ、2023年には21億7,480万ドルまで拡大すると予想されています。
eスポーツ市場の拡大とゲーム全体の盛り上がりは、今後のエヌビディアにとっては大きな追い風になると考えられます。
GPUの事業領域拡大
現状のエヌビディアのGPUの売上高は、ゲーム事業とデータセンター向けが2本の柱になっています。
しかし今後は、新たな事業領域に突入していくことが予想されています。
ざっくりと挙げると、
・自動運転
・AI(人工知能)
・5G
などがあります。
例えば自動運転の分野で言うと、エヌビディアは「トヨタ自動車」と提携しています。自動車には電気化、自動運転化という目標があり、半導体は欠かせない存在になっています。
また、AI分野については機械学習に大量のデータ処理が必要となり、GPUの需要は高まっていきます。
そして、すでに成長著しいデータセンター向けの半導体についても、今後クラウドデータセンターの需要が高まっていくことが予想されています。
すでに述べたゲーム向け需要だけでなく、あらゆるジャンルで急速に需要の拡大が見込まれているので、エヌビディアにとっては、大きく成長を遂げるチャンスが到来しています。
企業買収の影響は?
エヌビディアといえば、2020年9月にソフトバンクグループ傘下のアームを買収合意したことが話題になりました。さらにその前2020年4月には、メラノックスも買収しています。
これらがエヌビディアにとってどう影響してくるのでしょうか?
まずメラノックスはデータセンター向けに強い企業です。2020年はコロナ禍において在宅勤務需要が高まっており、データセンター向けの半導体が好調でした。
おそらく、このデータセンター向け需要は今後も続くとみられ、メラノックスの買収については前向きに捉えることができると思います。
一方でアームは、スマートフォン向けの半導体に強みを持っています。これまでエヌビディアが強みを発揮してきたGPUではなく、スマホ用CPUを強化した形になります。
現在は各国規制当局の許可を待っている状況ですが、アームの買収が成立することになれば、エヌビディアは新たな領域に踏み込むことになります。
半導体業界の勢力図も大きく塗り変わることになりますが、一方で規制がかかるリスクも併せ持っています。
すでにグーグルやマイクロソフトなどの、ハイテク企業から反トラスト法に反するのでは?と懸念を示しているようです。
株価はすでに買収成功を織り込んだ上昇を見せており、失敗となると大きな下落も予想されます。
アーム買収は成長の起爆剤になりますが、一方で失敗のリスクも視野に入れておく必要があると私は考えています。
CPUへの参入
エヌビディアは2021年4月に、CPU(コンピュータの頭脳とも言える部分)への参入を発表しました。
アームの基本設計を利用して、2023年にスーパーコンピュータに搭載する予定であることが分かっています。
今回発表したCPUは、エヌビディアに強みがあるGPUと組み合わせて使うことで、AIに学習させるための速度が最大10倍になるようです。
これまでインテルやAMDに強みがあったCPU領域への参入は、業界に大きな変化をもたらす可能性があります。
今後拡大していくことが予想されるAI分野の半導体において、大きなリードとなる発表だったのではないかと考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は注目の半導体企業「エヌビディア」について銘柄研究をしました。
○主力のゲーム事業だけでなく、新たな事業分野にも大きな期待
○アーム買収については成長ドライバーの可能性もあるが、リスクもあり
半導体の需要が無くなることは考えにくいですが、競争が激しい分野でもあるので注意が必要です。
アームの買収についても注目しておくことが大事ですが、もし仮に買収が失敗に終わっても長期的にはそこまで問題ない可能性もあります。
動きの大きい業界であるため、今後の予測を決めつけることなく、柔軟に見ていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。またお願いします。